昔、小学生だった頃の思い出が蘇ります。ある日、兄と僕が一緒に遊んでいる時、偶然目にした哺乳瓶の絵に感動しました。思わず紙と鉛筆を手に取り、兄と一緒にその哺乳瓶を描き始めました。
兄は真似ながらも、デッサン風の正確な線で哺乳瓶を描き上げました。一方、私は線が不完全で、きちんとした絵とは言えませんでしたが、その絵を見た母親が微笑んで言いました。「あなたの絵は今すぐ使えそうに見えるわね!」確かに、兄の絵は完璧でしたが、私の絵には何か素朴な魅力があったのかもしれません。
それから時が流れ、兄は建築の専門学校に通い、建具屋で腕を磨き、素晴らしいキャリアを築いています。一方、私は日本画に進む道を選びました。独学で日本画を学ぶ旅に出発し、初めての筆触に心躍らせています。
この小さな思い出が、私の人生の中で何かを意味しているように感じます。絵が下手だと自分で思い込んでいた過去がありましたが、それはもう過去の話です。日本画の世界で、筆線が大切だと学びました。筆を持つ手が描く心を伝えるのです。
日本画は線描きが特徴的で、その純粋な筆線が作品に心を吹き込むのです。多少下手でも、心を込めて描けば、必ず人に伝わる力があるのです。私は独学で日本画を学ぶことで、自分自身の純粋な表現を追求し、絵の力を信じることを決意しました。
これからの日本画の旅は、兄のように完璧でなくても、私の筆線が誰かの心を触れる力を持つことを信じています。純粋な気持ちで絵を描くことで、私の絵が誰かの心に届く日がくることを楽しみにしています。