日本画を描くうえで基本となる技法を紹介します。様々な技法を使い分けることによって絵の表現にも幅ができるためまずは練習をしてから本番に入りましょう。
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筆の線について
線描
線だけでモチーフを描き表すことを一般的に線描と言います。線描で大切なのは、筆の穂先のしなりを意識して線を描くことです。
この線を描くときは、手の腹を使うと思いどうりの線が描ると思います。描く前に古新聞を使い練習をしてから描くとよいでしょう。
鉄線描
一定の太さを保った線を指し、日本画で代表的な線描の一つです。日本画の下絵となる骨描きで主に用いられます。
かすれ線
擦筆ともいい、筆の穂先に含む水分をあえて少るして、かすれた表現を作る線描です。筆の穂先ではなく側面を使用することが多いです。
かすれを生かして、岩の荒々しい質感を表現しています。
たらしこみ
たらしこみは、最初に水を引いて、その水を引いた上に墨とか絵具をにじませ自然に絵具が広がっていく技法です。
グラデーションの描き方(ぼかし)
たらしこみに似ていますが、乾いた刷毛を使います。右側の写真、紅葉の葉っぱの背景ををグリーン色にグラデーションにしたやり方です。
胡粉を引いたパネルに、一色から二色を同時に使って二色のぼかしを作る作業です。息つく隙がありません。一本勝負です。
絵具は岩絵の具ではありません。チューブの絵具です。二色の絵具を同時に温めながら塗っていきます。
モミジの部分は、チューブの絵具の若葉と胡粉を混ぜ塗りました。その上に、若葉岩絵具ともう少し濃い絵具を使い塗りました。
僕が持っているチューブの絵具の種類は、この他含めて12色しか持っていません。別に不便を感じませんでした。絵具どうしを合わせて使っています。それに合わせて岩絵の具を選んで使っています。持っているのがなければ、それに近い絵具をその都度、店に行って購入します。 |
背景をぼかしす理由
例えば、自分で選んだ花を日本画で描こうと思います。花が枝に数輪咲いている場合、全ての花の詳細を描くことができますが、その結果、他の人から見ると選んだ花の魅力や特徴が埋もれてしまう可能性があります。パネルに詳細な要素を詰め込みすぎると、作品の真髄が薄れてしまいます。逆に、あまりにも少なく描くと不足感が出てしまいます。
そこで、周囲の花と似た色を使って背景をぼかすことで、選んだ花を際立たせることができます。これによって、選んだ花がより立体的に見え、観る人にはその空間が想像力をかき立てることができるのです。
言い換えれば、背景をぼかすことで、描いた花が引き立つ効果が生まれ、観る人により深い印象を与えることができます。
これは、日本画についてでも話したと思います。
背景の色を決めるグラデーションにする。
ここで習った先生によって違いが出るのですが、僕は、ここで背景の色を決めてグラデーションをかけていきます。絵具は岩絵の具ではなく、吉祥チューブ絵具か丹羽チューブ絵具を使います。溶いだ胡粉を別な皿に使う量を決めて入れます。そこにチューブの絵具を少しずつ加えていきます。適当な紙に塗ってテストをします。ドライヤーで素早く乾かして色の様子を見ます。自分でこの色と思ったならそのまま使います。
転写したパネルを用意します。転写した絵を目安に、どの辺にグラデーションを掛けるか決めます。
グラデーションをする前にパネルの表面を、刷毛に水を含ませパネルに水を引きます。そこに胡粉と絵具を混ぜた絵具を温めながら、グラデーションを掛けたいところに、筆で所々に軽く絵具を置いていく感じで塗ります。丁寧に塗る必要はありません。
乾いた刷毛を使い、グラデーションを描きます。
絵具を塗ったところを乾いた刷毛で、その時に状況によりますが、左から右に一回刷毛を引きます。溜まっている絵具を伸ばします。同じ方向にもう一度引きます。次に左右斜めに引きます。次に上から下へ、下から上へ。最後に左右横に引きます。グラデーションを掛けたいところ全体に引きます。次に反対方向に斜めに引いて行きます。次は縦に引いたりしていきます。下から上に引きます。また、最初に、引いた方向に伸ばしていきます。これを素早くやります。結構、難しいです。これで綺麗なグラデーションができれば成功です。
もう一度、草稿(そうこう)します。
日本画の制作工程(3.トレース)トレーシングペーパーに描いた線をもう一度、グラデーションの上にモチーフを描くパネルに写していきます。
ここでもう一度、加えた方が良い花とか?取り除いた方が良い葉っぱとか考えてください。
・彩色
転写したモチーフを岩絵具や水干絵具を使って彩色していきます。少量の絵具を使って薄塗りをしていきます。