ドーサ液を和紙に塗る作業

 

1.ドーサ液を和紙に塗る作業

ドーサ液を塗る前に、絵を描くパネルの大きさを決めてください。

・和紙の表面が滑らかな部分が表です。ボコボコしているのが裏です。

・表面をドーサ液を含ませた刷毛で引きます。

和紙にはあらかじめドーサ液を塗った和紙も販売されています。購入の場合はお店の人に聞いてください、それによって金額が変わります。

・ドーサを引いた紙は自然に放置して乾かし、火や日に当てないように注意します。

〈ドーサのつくり方〉

最近はドーサ液が売っているので、この項目は必要ないと思いますが書いておきます。

ドーサというのは、和紙に絵具がにじまないようにするためと上に塗る絵具を画面に定着させるために、また箔張りのときに引く、膠と明礬(みょうばん)とでこしらえた液のことていす。日本画を描くとき、和紙に前もってドーサ引きするのか普通です。

膠(三千本膠一本)10グラムに対して水200ccが目安です。それに、どうさを作るために、さらに水を400㏄加えます。そこに明礬(みょうばん)、膠水にミョウバンの飽和水を大さじ1~2杯、加えます。

膠の分量に従って分量も違ってきます。初め少し入れ、ちょっとなめてみます。

渋味がある位がよいのです。私は舌の先につけてみることにしています。一合ぐらいなら茶匙半分位を入れてこころみて下さい。

ドーサ引きは絵の仕事のはじめ、中頃とか七部通りできた頃などに行ないます。特に大作のとき、色が重なってくると仕事ができにくくなりますが、そのようなときはいくぶん膠をうすくしたドーサを引くことがあります。そうすると仕事がしやすいです。

最近では液体でドーサ液が売っているのでそちらをお買い求めた方が手間がかからないのでお勧めします。ドーサ液の成分を説明した理由は、知識として覚えた方が良いと思い書きました。

2.パネルに貼ります。

  1. パネルに合わせて和紙を切ります。パネルの大きさとノリの接着部分も含めた大きさに計算して切ります。
  2. 和紙の裏側のフチとパネルを接着させるため、専用刷毛でのりを塗ります。一方、パネルの周りにものりを塗ります。
  3. 紙の内側を水を含ませた刷毛で湿らせます。和紙が伸びるようになるまで、約1分間放置します。
  4. パネルの上に、和紙をのりが着いた面を下にして乗せます。紙の位置をパネルに合わせ、乾いた刷毛かヘラで紙を伸ばしてください。これを行わないと乾いたときにシワができてしまいます。
  5. 次に、ノリが付いた紙の両端を折り曲げてパネルに接着させていきます。事前にパネルの周りにノリを付けておいてください。

これによって、和紙をパネルにきれいに貼り付けることができます。

3.胡粉を塗ります。

膠、胡粉の溶き方について

・膠の溶き方と使用上に注意

  • 固形の膠は、あらかじめ水につけて適度にふやかしておくと溶かしやすくなります。
  • 膠は60℃から70℃の温度の湯銭によって、ゆっくりと溶かすのが最適です。沸騰させると、接着力が弱くなります。
  • ※よく膠を溶かす場合、沸騰させてしまう人がいます注意してください。

胡粉(ごふん)の溶き方

胡粉は充分にすっておかないと、膠で溶くときにうまく溶けず、画面にもうまくのらないために、出来上がった絵がスッキリしないので、いつも心をこめて胡粉をすります。

僕は精好水飛花胡粉か大極上水飛花胡粉。この二つしか使っていません。

1.胡粉をまず、皿に適量を入れて、膠の溶液をさじで点滴のように加えながら、人差し指か中指を使ってこねます。

2.手に胡粉がつかない状態になったら、丁度耳たぶ位のやわらかさの団子を作ります。

3.できたらその団子を皿にたたきつけます。昔から「百回位たたきつけるように」と教えられてきました。そうすることによって、一層雄粉はきめが細かくなり、膠が胡粉の粒子によく染みこませることができるのです。

4.それが終わったら、胡粉の団子を作って、皿の真ん中に指でおさえてくっつけ、あらためて膠を少し加え、中指か人差指で力を入れて強く動かして溶くようにしています。

このとき途中で少量の膠を滴らしながら、そして温めながら行いますが「とろり」とした感じに溶きあげることが大切なのです。

 

人によって膠の強さや溶き方はちがうようですが、僕はめんどうでも皿の上に団子(胡粉)をのせ、中指で溶き下ろす方法をとっています。先にも述べたように指あぶらが、膠や水に混ざつて、胡粉のつやを一層強めるからです。

夏期は膠が腐りやすく、腐臭のあるものは絶対に使用しないことです。付着力がないために、あとで絵具が剝落したり、変色したりの原因となります。この状態でお客さんに渡ったら高い金額を請求される危険があると思います。

膠は夏期には朝夕煮るのがよいのです。胡粉も皿に残っているからといって、水で溶き下して使ったりしないことです。私は「宵越しの胡粉は使わないこと」にしています。

日本画の絵具を一度に厚塗りすることはやめた方が賢明です。特にここで述べた胡粉は、一度に厚塗りできません。あとでぽかりと落ちて絵に穴があくばかりでなく、亀裂のはいることもあります。

京人形の美くしいつやのある顔を作るのには、この胡粉をうまく溶いて、何度も何度も回を重ねて塗るのだそうです。

絵の場合も、この胡粉に限らず、顔料は回を重ねて塗るように気を付けて下さい。そして、心得ておいていただきたいことは、初めに塗る色の膠は少々濃く、だんだん塗り重ねるに従って、膠を薄くする。下地が薄く、上に塗られた色の膠が濃い場合、上から膠の引っ張る力が強くなってひび割れてくることになります。下地に膠を濃く、上地に膠を薄くして塗ってゆくと、下からの膠が上の色を落着け、また仕上がりの頃の薄めの膠が発色を美しくするのです。

(上記は一般的な方法のひとつです。)

 

絵具

胡粉

白色。日本画で最も良く使われる色で、下地作りに欠かせません。カキの貝殻を砕いて作ります。質が良くなるに従い、キメ細かく美しい発色をします。

方解末(ほうかいまつ)

方解石の粉末。主に下地や盛り上げに使う半透明白色の天然岩絵具。
方解末の使い方
下塗りをした後、岩絵の具を塗っても胡粉の上にのりません直ぐに取れてしまいます。胡粉の表面ががつるつるしているからです。そこで方解末を胡粉の中に混ぜるのです。
でもただ、混ぜるのではありません。方解末も膠に混ぜて、指先で溶いで行きます。その後に胡粉を塗いだ中に入れよく混ぜて使います。

水晶

 水晶の粉末。方解石よりも透明度の高い白色の天然岩絵具。主に岩粗く見せる為に使います。
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