絵を描きながら考える事

絵を描きながら、どんなことを考えているか、初めて出会った瞬間を大切にしたいですよね。その時に感じた思いや印象を心に留めています。実際、そういった思いを後で振り返るためにも、メモを取ることはとても役立ちます。例えば、花を描くとき、『この花のこの部分が美しい』とか、『ここに勢いがあって魅力的だ』といった短いフレーズをスケッチブックの端に書いておくと良いですね。長い文章でなくても、短く簡単なメモを残すだけで、後からその瞬間の印象を鮮明に思い出せますよ。

固っ苦しい考えではなく花でしたら植物であっても植物ととらえるのではなく浸しい友人として描いてみてください。

絵を描くとき、上手に描こうとするよりも、まずは丁寧に実際の形や質感をしっかり観察して描いてみてください。個性を出そうと無理する必要はありません。人は人、自分は自分で良いので、まずは目の前のものに向き合って、丁寧に描くことが大切です。

描き終わったら、全体を見直して、自分が本当に何を描きたかったのか、何が目を引いたのかを考えてみましょう。スケッチの端にメモを残しているなら、それを見返して思い出すのも良い方法です。そして、必要のない部分があれば指で隠してみて、消していく作業をしてみてください。でも、逆に何か足りないと感じた場合は、紙を切って付け加えたい部分を描き、スケッチに重ねてバランスを確認することもできます。

例えば、風景画で樹木が一列に並んでいる場合、同じ高さに描くのではなく、段差をつけて動きを与えると良いでしょう。音楽の楽譜を見た時、音符が揺れたり跳ねたりしているように見えることがありますよね?絵も同じで、リズムやバランスが重要なんです。実は昔、僕の絵の先生が『絵は音楽だよ』と言っていたのが今でも心に残っています。

絵を描くことは、僕にとって瞑想のようなものです。絵を描いていると、いろんな気づきが自然と生まれてきます。自然は無言で多くを教えてくれるといいますが、それに似た感覚かもしれませんね。描き始める前は、何となくイメージが頭の中にありますが、そのイメージを固執せず、色を加えているうちに、最初に考えていたものと違う方向に進んでいくこともあります。

その時、無理に自分の最初のイメージを押し通すのではなく、自然の流れに任せるようにして、色や形を加えていくんです。このプロセスそのものが、絵を描き続ける大きなやりがいであり、毎回新しい発見があります。

私がこれまで描いてきた日本画は、どちらかというと絵具をたくさん使ってしまい、不経済な描き方だったと思います。実際には、日本画は少量の絵具でも工夫次第で豊かな表現が可能です。私もそのように効率的に描けるように、技術を磨いていきたいと思っています。

ただ、技術をマスターすることだけが良い作品を生むわけではありません。心の誠実さと技術のバランスが大切だと感じています。この両方が整ったとき、本当に良い作品が生まれるのだと思います。

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